支払限度額について
会社役員賠償責任保険「会社役員プロテクター」では保険金をお支払いする限度額である支払限度額を11パターンの中からお選び頂けます。しかし、損害額の想定が難しいこともあり、明確な根拠をもとに設定されていないことが多いのが実情です。そこで、支払限度額の設定のポイントを説明します。
役員の「最低責任限度額」について知る
「会社法における役員の最低責任限度額」とは?
会社法423~427条において役員が損害賠償責任を負う場合、株主総会の決議によっても免除ができない「最低責任限度額」について定められています。したがって、株主総会等での決議があった場合でも免除できない責任額としてD&Oの支払限度額設定の最低基準とする見方ができます。
役員区分ごとの最低責任限度額
- 代表取締役又は代表執行役
- 年間役員報酬の6倍
- 上記以外の取締役(業務執行取締役等であるものに限る)または執行役
- 年間役員報酬の4倍
- 社外取締役、会計参与、監査役又は会計監査人
- 年間役員報酬の2倍
たとえば
代表取締役2名(報酬:5,000万円/年)、取締役5名(報酬3,000万円/年)、監査役3名(報酬1,000万円/年)の場合の最低責任限度額は…
- 代表取締役:5,000万円×2名×6倍=6億円
取締役:3,000万円×5名×4倍=6億円
監査役:1,000万円×3名×2倍=6,000万円 - 最低でも13億円必要?
単純に役員人数と役員報酬の計算結果を支払限度額とすれば十分なわけではありません。
会社法にて定められている「最低責任限度額」は役員の“善意かつ重大な過失がないこと”について株主総会等で同意を得た場合の規定です。実際に会社に損害が発生している場合、
よって、役員の最低責任限度額の合計で支払限度額を決めるべきではありません。
役員の「最低責任限度額」の合計額は支払限度額の設定において
あくまで“最低基準”という位置づけとなります。
D&0の支払限度額を設定するにあたって考慮すべき点はこのほかにもあります。
高額な争訟費用
株主代表訴訟は長期にわたるケースも少なくなく、役員が多数いる場合には複数の争訟が発生する場合もあります。
争訟が長期化することで弁護士費用などの費用が高額化し、賠償額に加えて多額の争訟費用が発生することが少なくありません。
上記をふまえ十分な支払限度額を設定ください。